世界遺産・平泉で見た少子高齢社会

本格的な高齢化社会に突入

中尊寺

終戦後の昭和22年から昭和24年の出産ラッシュで生まれた「団塊の世代」。今年、その先頭集団が65歳の誕生日を迎えています。2000年に導入された介護保険制度ですが、現在の認定者は500万人とも言われています。介護保険の認定を受けはじめるとされる75歳に団塊の世代が到達するまであと10年です。
65歳以上の人口が総人口に占める比率である高齢化率は、現在23.3%。今後急速に上昇し、2025年には30.3%、2060年には39.9%と全体の4割に達すると予想されています。このような少子高齢化社会に本格的に突入する日本では、いかに働き手を確保していくかが経済の活性化には不可欠です。それには、女性や高齢者の働き手をいかに増やしていくかが喫緊の課題です。
写真は、世界文化遺産の平泉・中尊寺金色堂です。平泉の町の景観は黒や茶色のみといった規制がされ、見慣れたコンビニの緑と赤のロゴマークもモノクロで示されていました。この地で、少子高齢社会の縮図を見たような気がしました。参拝者は杖をついたり、車いすを押しながら月見坂を昇る方々。もしかしたら、2060年頃の日本かもしれません。地元の観光ガイドの方は現役を引退された学校の先生や役場の方々が多いそうで、歴史に非常に詳しく、皆さんいきいきとされていました。シニアの活躍も女性の活躍と同時に推進されることを期待したいと思います。

中尊寺2

天台宗東北大本山の中尊寺。12世紀初め奥州藤原氏初代清衡公が前九年・後三年の合戦で亡くなった命を平等に供養し、仏国土を建設するため大伽藍を造営しました。現存する唯一の総建遺構です。堂全体を金箔で覆われ、極楽浄土を現世に表した国宝金色堂はみごとです。紅葉の時期にはまた格別の風情を漂わせることと思います。
※平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学遺跡群としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。

世界のパワフルウーマンからのメッセージ

睡蓮

7月はじめに来日した国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は講演で『非常に高い教育を受けた女性は、未発掘だがすばらしい資源』だと述べたそうです。日本は、オーストラリアのように広大な土地や鉱山資源に恵まれているわけではありません。日本にあるのは”人材”という資源だけなのです。
国連開発プログラムによる2009年のジェンダー・エンパワメント尺度(GEM)は、日本は世界で57位に甘んじています。GEMは、女性が経済と政治の意思決定に参加している度合を示しています。一方、教育レベルや健康レベルに基づく人間開発指数(HDI)は世界で10位です。人的資本の水準に比べて女性の活用が遅れていることが明確にわかります。ラガルド専務理事もこのような背景のもとに、女性の活用を促したのではないでしょうか。
また、2011年のAPEC(アジア太平洋経済協力)閣僚会議では、ヒラリークリントン米国国務長官が『日本における女性の雇用率の引き上げは日本のGDPを16%増大する』と述べたそうです。
経済活性化には『女性活用・女性活用・女性活用』ですね。

働く母、成長のカギ

中尊寺2

働く女性の歴史をたどってみると、日本の女性はもともと働く割合が高かったのです。畑、稲作など農業は家族総出で行われていました。
写真はチャグチャグ馬コの里「南部曲り家」で見せてもらった昔の保育器です。保育所も学童保育もない時代ですので、赤ちゃんも写真のような籠に入れて田植えに行ったそうです。首が動かないように固定し、籠の下には穴をあけておいて排泄されたものはそのまま畑の肥料になったそうです。家族みんなで働き、家族みんなで子供を育てる風土があったのではないでしょうか。見習うべき点は非常に多いのではないかと思います。
現在は、周辺の子供も受け入れる社内託児所や保育ママなど子どもを預ける施設は増えていますが、絶対数が足りず働きたくても働きに出られない女性もいます。会社以外の場所を拠点にするテレワークや労働時間の柔軟化によって働く選択肢は広がってきています。育児や介護にあたりながらも、隙間時間や移動時間を有効に使い、仕事の自由度を上げワークライフマネジメントすることで個人の理想のワークライフバランスに近づけることは可能です。一人ひとりのワークライフバランスが理想に近づけば、日本の成長率の向上にも近道となるでしょう。

働くなでしこ大作戦

岩手山

平成24年6月22日女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議で、女性の活躍推進のよる経済活性化行動計画〜働く「なでしこ」大作戦〜が発表されました。行動計画の柱は、(1)男性の意識改革、 (2)思いきったポジティブ・アクション(積極的改善措置)、(3)公務員から率先して取り組む、の3本柱になっています。今後、日本再生戦略として位置づけられ、行程表が作成されていくそうです。取り組めるものから取り組む方針のようですが、女性の就業抑制を税制・社会保障制は早急に見直す必要があると思います。一部の女性だけの活躍だけでは足りません。女性全体の能力・意識の底上げがされてはじめて、女性活躍推進といえるのではないでしょうか。

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