2013年4月19日に安倍総理が表明した成長戦略では、女性の活躍を経済成長の中核と位置づけました。
女性が輝く日本として次のような内容を発表しました。
✓待機児童解消加速プラン
✓3年間抱っこし放題での職場復帰支援
✓子育て後の再就職・起業支援 等
<成長戦略スピーチより>
女性の活躍は、しばしば、社会政策の文脈で語られがちです。しかし、私は、違います。
「成長戦略」の中核をなすものであると考えています。
女性の中に眠る高い能力を、十二分に開花させていただくことが、閉塞感の漂う日本を、再び成長軌道に乗せる原動力だ、と確信しています。
成長戦略の中核に位置付けられた女性の活躍には、具体的には次のようなメニューが含まれました。
以下、「女性役員の登用」と「育児休業3年の推進」について取り上げます。
2002年男女共同参画推進本部にて「2020年までに指導的立場に女性が占める割合を30%にする」と目標が掲げられました。しかし、欧米に比べ我が国の女性管理職比率は低く、目標からは程遠いのが実情です。そこで、成長戦略にも、女性役員の登用が盛り込まれたのです。
✓全上場企業に対し役員・管理職への女性の積極的登用
初めの一歩として、役員に1人は女性を登用
内閣府と東京証券取引所など全国5証券取引所は、「コーポレート・ガバナンス報告書」の中で、女性役員の人数や役員会における男女別の割合などの情報の開示を企業に要請する動きがあります。女性社員を積極的に登用し経営効率もよい「なでしこ銘柄」の選定など、女性を登用する企業ほど株式市場で評価される仕組みも実施しています。内閣府も全上場企業を対象に女性に関する情報公開を求めていくようです。
政府は女性の社会進出を後押しするために、全上場企業の女性管理職の登用状況を公表する方針を固めています。具体的には、個々の企業の女性役員の人数や役員会における男女の割合などとされる見込みです。政府がまとめて公表することで、他の企業と比較しやすく、企業側の自主的な取組を後押しできるとみています。
現行法では、育児・介護休業法により原則1年(保育園に入れないなどの理由による場合は1年6か月)育児休業を取得することができます。この期間の給与の支給の有無は法律には定めはなく各企業にゆだねられています。一般的にノーワーク・ノーペイの原則により無給の場合が多く見られ、雇用保険の被保険者であれば雇用保険から「育児休業給付金」が支給されています。
今回の成長戦略に盛り込まれた「育児休業3年」は、法律改正には踏み込んでいません。「育児休業3年」を積極的に認めて、社員の子育てを支援する企業に対しては、新たな助成金を創るなどの案はあるようですが現段階では財源には触れられていません。
原則1年間の育児休業は国の制度として現行通り、その後は企業の独自制度として推進してほしい、ということです。独自制度の期間は有給にするか無給にするかは企業次第、企業の懐具合にゆだねられるということです。「育児休業3年」は育児休業”取得期間”の拡大なのです。
大企業では、「育児休業3年」というのは珍しくはありません。しかし、3年間目いっぱい休業する社員がどれくらいいるかというと、実際は予想したほど利用者がおらず、法定通りの育児休業を3年に延長し、その後2年に短縮する、といった企業もあります。制度を拡大するときよりも、制度を変更するときの方が労務管理上難しいケースもあります。労働条件の不利益変更にあたると訴訟リスクを抱える可能性もゼロではありません。横並びの制度導入ではなく、社員のニーズの把握をしっかりと行うことはとても大切です。
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