つながらない権利

つながらない権利とは

「つながらない権利」とは、就業時間外に仕事のメールや電話など業務に関する連絡を遮断する労働者の権利のことをいいます。
フランスやイタリアでは法制化されていますし、厚生労働省の「これからの労働時間制度に関する検討会報告書(令和4年7月15日)」でも触れられており、在宅勤務の定着や勤務間インターバル制度の普及促進の議論中でも注目されています。

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なぜ、「つながらない権利」が注目されているのでしょうか?

 民間企業の調査結果(NTTデータ経営研究所「新型コロナウイルス感染症と働き方改革に関する調査」)では、就業時間外に業務に関して、「緊急性のない電話やメール(ライン等を含む)に対応することに関して、「連絡があれば対応したいと思う」人が18.6%、「対応するのはやむを得ない」と思う人が46.7%にのぼっています。「対応したい人」、「対応することはやむを得ないと思う人」の割合の合計は、65.3%です。
その理由としては、「気になることは早く終わらせたいから」が最も多く68.4%、次に多いのが「自分のところで業務が滞るのが嫌だから」が47.8%です。

 テレワークは、今まで以上に労働者が自律的に仕事(就業時間)をマネジメントすることが求められていますが、就業時間外に自ら「つながって」、業務の対応をしてしまう労働者も少なからずいるのです。

 それらの時間が労働時間に該当するか否かは個別的な判断にはあるものの、就業時間外も常に連絡が取れる状態であることを求め、メールの確認や対応を義務付けていれば、争いになったときは待機時間を含め労働時間と判断される可能性もあると考えられます。また明確に義務付けていない場合であっても、就業時間外の対応を余儀なくされている状態などは、黙示の指示があったとみなされる可能性も考えられます。企業はこのような可能性をリスクとして考えておかなければならないのです。

 また、勤務間インターバル制度を導入している企業の場合ですと、休息時間帯に業務連絡などを受けることで、睡眠時間が短くなったり、仕事への不安から心身が休まらなかったりすると、労働者の休養と健康の確保という勤務間インターバルの目的が果たせなくなってしまいます。

企業に求められる対応とは

そのためには、

・メール送信の抑制やシステムへのアクセス制限
・テレワークの場合の時間外等の可能な時間帯や時間数を労使の合意のもとで、会社がルールを作ること
 
なども考えられます。

 メールソフトの中には、送信時間の予約ができるものもありますので、送信予約をして、翌日の就業開始時刻以降に到着するような取組も有効です。
また、労働者への意識付けとして、業務時間外には業務用のメールやチャットはみないなどの社内ルールとして定めることも考えられます。

メリハリのある働き方・休み方で労働生産性の向上を目指しましょう。

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最終更新日:2022.12.5

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