2025年には認知症の高齢者は現在の300万人から470万人に達すると言われています。この年、いわゆる団塊の世代が75歳以上になるのです。団塊の世代の介護を担うのは誰か?企業経営の中核を担う団塊のジュニア世代なのです。現在社内では介護休業取得者がいないなどの理由から、社員の介護ニーズの存在に気がついていない場合があります。社員の介護ニーズは、今までの日本的慣行の影響も根強く、”介護の問題は個人で解決すべき”との考えもあり、育児ニーズほど顕在化していないことも多いのが現状です。これからは、介護に伴う課題を社員がひとりで抱え込まないように、仕事と介護の両立をサポートする体制を構築することが求められています。
平成25年2月28日、第183回国会で安倍内閣総理大臣の施政方針演説が行われました。
その中には、『子育て・介護を支える社会』として介護の支援についても触れられています。国の施政方針に仕事と介護の両立支援が位置づけられたことにより、人事部の役割は今後大きくなります。出来ることから準備を始めましょう。
【子育て・介護を支える社会】一部抜粋
年老いた親の介護と仕事の両立にご苦労される方も、増えつつあります。介護と仕事も、両立しやすい社会を創っていかねばなりません。まずは、その第一歩として、両立するための知識やノウハウを働く方々や職場に周知して、様々な支援を受けられるようにします。
はじめの1歩は、介護実態を把握することです。今まで実施していた従業員意識調査に介護についてのアンケート項目を追加することから始めても良いでしょう。介護に直面している又は直面する可能生が高い社員は、”介護の問題は自分のキャリアへのマイナス要因”と捉えていることがあります。アンケート調査を行う際には、無記名で実施することもポイントです。
(1)介護に関わる会社の制度について情報を提供しましょう。
(2)相談体制の役割分担を明確にしましょう。
介護は、企業内外の社会的資源を活用して仕事と介護の両立を実現できるように支援することが大切です。人事部で対応することと、介護の専門家につなぐことを明確にしましょう。
<訪問入浴介護>
家庭の浴室での入浴が困難な人を対象に、浴槽を家庭に持ち込むなどして入浴サービスを行います。
このような『介護そのもの』は専門家の役割です。
相談者の置かれている状況は1人ひとり異なり、信頼関係を気づきながら一緒に解決策を考えていくことが大切です。仕事と介護を両立していくためには、相談者の上司や同僚に状況を理解・サポートしてもらうことも大切です。家族のプライバシーにもかかわることですので、個人情報の取り扱いには留意しながら、風通しの良い相談窓口を作りましょう。
介護に直面する可能性のある、又はすでに直面している社員は、介護保険制度はじめ介護に関するサービスについての知識が豊富です。”そんなことも知らないの?!”と思われないためにも、忙しい人事部の皆様も介護保険制度についてひと通り知っておくことは大切です。
各自治体では、介護に関するパンフレットが『無料』で置かれています。絵や図が豊富で、専門用語もわかりやすく書かれています。上手に利用してください。
【東京都作成】
介護保険制度のあらましから、サービス利用の手続き、保険料のことなど介護保険制度はこの1冊でわかります。
【東京都作成】
介護保険制度が英語版・中国語版・韓国語版で書かれたパンフレットもあります。
【東京都作成】
高齢期の住まいについて、サービス付高齢者住宅の選び方から契約書のチェクポイントまで書かれています。
【東京都練馬区作成】
東京都練馬区作成のパンフレットです。高齢者相談センターの問い合わせ先も掲載されています。
【東京都八王子市作成】
東京都八王子市作成のパンフレットです。地域包括支援センター一覧も掲載されています。
※各自治体では、介護保険とは別の高齢者福祉サービスを行っていることがあります。社員の方々がそれぞれのお住まいの”自治体のサービスを調べておくこと”を情報提供にプラスなさってください。
更新日:2013年4月22日