労働政策審議会雇用均等分科会では、①次世代法の延長について、②行動計画について、③認定制度について、等が審議されました。次世代法の延長については、少子化の進行等の状況や行動計画が義務化されてまだ日が浅い企業もあることを踏まえれば、引き続き次世代法に取り組んでいくことが重要であるとされ、現行法が次世代育成支援対策を集中的・計画的に実施するため10年間の時限立法としたことを踏まえ、さらに10年間を取組期間とし、次世代法を延長することが適当であると結論づけられました。
これを受けて、厚生労働省は次世代法改正案を、2014年の通常国会に提出しました。法改正を通して、認定制度について、基準を満たしにくかった中小企業のために一部の認定基準が緩められる方向性等が打ち出され、原案通り、2014年4月16日参議院本会議で可決・成立され、4月23日に公布されました。
行動計画指針には、①企業における両立支援の更なる取組を促進するために、行動計画策定指針に、非正規雇用の労働者が取組の対象であること、②男性の育児休業取得促進、所定外労働の削減の取組、年次有給休暇の取得促進など働き方の見直しに資する取組を進めることが重要であることが明記されます。
また、相当程度取組が進んでいる企業への支援も盛り込まれます。行動計画に定めた目標を達成したことその他の厚生労働省令で定める基準に適合する場合には、その旨の認定を受けることができ、自社の商品等にその旨の表示を付すことができるとされています。いわゆる、「くるみん」マークのことです。このうち、既に相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の両立支援の取組を行い、改正法案に盛り込まれる予定の新たな認定制度基準に基づく認定を受けた企業については、行動計画達成への取組を継続しやすいように、行動計画の策定・届出に代えて両立支援の取組の実績を公表するなどの仕組みが設けられます。継続して取組んでいる企業は新たな取組として何を行動計画に盛り込むべきか苦慮し、負担感を感じている一方で、行動計画が義務付けられてからの期間が短い中小企業等は、効果の認識度合いが低いなど取組や効果に差が出ていることが背景にあると思われます。
現行の認定制度に係る厚生労働省の基準について、両立支援のさらなる取組を促進するために、①男性の育児休業取得に係る基準について中小企業の特例を拡充する(※)、②女性の育児休業取得に係る基準について見直す、③所定外労働の削減のための措置、年次有給休暇の取得促進のための措置、その他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置に係る基準について見直す、等が検討されました。また、行動計画と同様に、既に相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の両立支援の取組を行っている企業を評価し、継続的な両立支援の取組を促進するため、現行の制度とは別に新たな認定制度が検討されました。新たに設ける認定制度の厚生労働省令で定める基準は、①男性の育児休業取得率に係る基準について、高い基準を設ける、②所定外労働の削減のための措置、年次有給休暇の取得促進のための措置、その他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置について、一定の条件下で数値目標を定めて実施し、達成する、③女性の継続就業に係る基準を新たに設ける、④育児をしつつ活躍する女性を増やすための取組に係る基準を新たに設ける、とされています。中小企業等では、育児休業の対象となる男性がおらず、認定取得のネックとなっていることや所定外労働の削減や年次有給休暇取得率の向上については、数値目標を盛り込んでいる割合が低く、効果に結びついていない可能性があることが背景にあると思われます。
(※)従業員が300人以下の一般事業主の特例
計画期間内に男性の育児休業等取得者がいなかった場合でも、①~③のいずれかに該当すれば基準を満たす
①計画期間内に、子の看護休業を取得した男性従業員がいること(1歳に満たない子のために利用した場合を除く)
②計画期間内に、小学校就学前の子を育てる従業員に対する所定労働時間の短縮措置を利用した男性従業員がいること
③計画期間前3年以内の期間に、育児休業等を取得した男性従業員がいること
計画期間内の女性の育児休業等取得率が70%未満だった場合でも、計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)を合わせて計算したときに、女性の育児休養等取得率が70%以上であれば基準を満たす
次世代法が時限立法であったことで、法律改正の動向を見極めようと、認定制度を受けようとする企業の中には足踏みをするケースもみられましたが、改正法案の成立により、認定を取得する中小企業も増えてくるものと思われます。
新たな認定制度には、長時間労働の削減のための措置や年次有給休暇の取得促進のための措置、その他の働き方の見直しに関する多様な労働条件の下で、数値目標を定めて実施することが求められます。改正に乗り、働き方の見直しに取組みましょう。
施行日:2015年4月1日
*次世代法延長に関しては公布日(2014年4月23日)より施行
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更新日:2013年12月27日
更新日:2014年2月4日
更新日:2014年2月17日
更新日:2014年4月23日
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