写真(上)は、早朝のロンドン・ヴィクトリア駅です。スーツ姿でビシッと決めたビジネスパーソンもいれば、ラフなジャケット姿や、ベビーカーを押しながら出勤するママさん&パパさんなどなど、実にファッショナブルです。行先の電車が何番線に到着するかわからないため、通勤時間帯の駅構内は、大混雑します。エスカレーターは左右どちらに立てばよいの?!ロンドンは、立つ人は右側(stand on the right)、歩く人&急ぐ人は左側通行(wow!Osaka)なのです。
駅からビジネスパーソン達が向かう先はそれぞれのオフィス。フレックスタイム制が浸透しており、出勤時間はまちまちです。多くの女性の足元はスニーカー。颯爽と歩いてオフォスへ入っていきます。オフォスに着いてからヒールに履き替えることが普通だそうで、通勤はとにかく歩きやすいことが一番!交通機関のストも多く、信じられるのは自分の足のみ!ロンドン市内自転車に乗ろう大キャンペーンも後押しし、自転車通勤姿も多く見られました。
近年、シティと呼ばれるビジネス街には、ガラス張りのオフォスが増えています。少人数のミーティングルームがハチの巣のように並んでいます。早朝からコーヒーミーティングをする姿も見られました。そして、夕方5時6時になると、シティから人影が消えるのです。まさに、朝活!効率よく仕事をし、それぞれのライフの時間を大切にしているのです。
シティの高層ビル群です。目立つ3つの高層ビル左から頭でっかちな「ウォーキー・トーキー」(トランシーバー)、中央は「チーズグレーター」(チーズおろし器)、右は「ガーキン」(キュウリのピクルスに似ている)といったニックネームが付けられています。
写真(右)は世界標準時の街グリニッジの24時間時計です。国が違っても、言葉が違っても、時間は誰に対しても平等に与えられています。
ヴィクトリア時代のイギリスは、長時間労働・過重労働が当たり前、労働者への健康面への影響が指摘されていました。そして、徐々に労働者保護の政策が取られ、商店で働く人々の健康を確保するために、日曜日の営業が禁止されました。次に、ニューヨークと並ぶ世界の金融の中心ロンドンのシティで働く人々の働きすぎ防止のために”バンクホリデー”という特定の日の銀行業務を停止するという措置が取られるようになっていったのです。イギリス政府は、ワークライフバランスを「年齢、人種、性別にかかわらず、誰もが仕事とそれ以外の責任・欲求とをうまく調和させられるような生活リズムを見つけられるように、働き方を調整すること」と定義しています。
2003年3月には、5年間を期限とする「ワークライフバランスキャンペーン」が展開されました。ワークライフバランスの施策の導入によって、経営上のメリットが得られること事業主に示し、自主的な取組を促すことが目的とされました。
キャンペーンでは、ワークライフバランス施策の設計に関してコンサルティング企業による12か月にわたる支援を基本とした専門のコンサルタント機関を利用する事業主に対する資金援助を行うための「チャレンジ基金」の設置や先進的な企業から構成される「ワークライフバランスのための事業主同盟」との連携により、好事例集の収集や情報提供が行われたそうです。認定・表彰制度、ウエブサイトを通じた情報公開などもキャーンペーンの施策と並行して実施されました。現在、日本で行われている専門コンサルタント派遣や自治体等で活発に行われている表彰制度などの啓発活動の先駆けだったのでしょう。弊所のコア事業であるコンサルタント業の始まりにイギリスで出会うことになるとは!
写真(左上)は紳士クラブ。現在は、特別な許可を得ると女性も入ることができます。オックスフォード大学とケンブリッ大学専用のスーパー紳士クラブもあるそうで、こちらで強力なビジネスコネクションが築かれていくそうです。
2003年4月(2002年雇用法)からは、出産休暇の拡充や父親休暇の導入、子を持つ従業員に対する柔軟な働き方を申請の付与等、ワークライフバランス支援のための取り組みが強化されました。
オフィス近くの木陰の下で、生後、間もない赤ちゃんをあやしているスーツ姿のパパを見かけたとき思ったのです。同じ姿を東京のど真ん中の日比谷公園で見かけたら、まだまだ多くの人が、”んっ??っっっ???”と思うのだろうと・・・。
この国には、本当に多様な人々が暮らしています。隣にいる人が違っていて当たり前。ダイバシティ&インクルージョン。長い歴史の中で多くの移民を受け入れてきたイギリス。生粋のイギリス人の方が、おそらくマイノリティなのではないでしょうか。日本で語られているダイバシティが心もとなく感じ、今日本に必要なことは何か、何をやらなければならないか、という沢山の課題を頭の中でぐるぐるさせながら歩いていると・・・、昼休みに楽しそうな3人組のビジネスパーソンを見てちょっと微笑ましくなったのでした。
1894年に完成した「タワー・ブリッジ」。今では、橋が上がらなければ通過できないほどの高さのある船が通るときのみ、橋が上がる可動橋です。橋が上がった珍しい状態のタワーブリッジが見られるのは、今では週に数回。#ロンドン橋落ちた~落ちた~#のロンドン橋とよく間違えられる橋もこのタワー・ブリッジです。
6歳未満の子どもまたは18歳未満の障害をもつ子どもの親は、柔軟な働き方(労働時間の変更、勤務時間帯の変更、在宅勤務のいずれか)を申請する権利がある。申請日までに26週以上連続して働いていることが要件。雇用主は、その申出を真剣に検討する義務がある。
年間労働時間契約制 | 年間の総労働時間を契約し、それに基づいて週の労働時間を決定する |
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圧縮労働時間制 | 通常よりも短い期間内での総労働時間数を契約する。例えば、週5日勤務から4日勤務に変更し、総労働時間は同じ(5日分)とする。 |
フレックスタイム | 勤務時間を労働者が決定する。通常は合意された一定のコアタイムを含む。働いた時間分の賃金が支給される。 |
在宅勤務 | フルタイム契約である必要はなく、労働時間を職場と自宅とに分割してもよい。 |
ジョブ・シェアリング | パートタイム契約を結んだ2人の労働者が一つのフルタイムの仕事を分割する。 |
シフト労働 | 営業時間が1日8時間よりも長い雇用主向け。あらかじめ契約すれな割増賃金を払う必要はない。 |
時差出勤・終業 | 業務の開始・終業時間を人によって変える。時間帯によって、必要な人員数が変動する小売業などでは都合が良い。 |
学期間労働 | 子どもの学校の休暇中は無給休暇を取ることができる。 |
期間限定労働時間短縮 | 連続した一定の期間(例えば6か月)労働時間を短縮し、その後通常の時間に戻す。 |
1988年に整備された労働時間規制により、労働時間の上限を週48時間とすること、労働時間6時間あたりの休憩時間の設定、最低4週間の年次有給休暇の付与、夜間労働時間の上限を8時間とすることなどが規定されている。EUの労働時間規制により、加盟国の国内法の整備が要請されていることを受けたもの。ただし、労働者が個別に合意すれば週48時間を超えて働くことができるよいう例外規定を加盟国中唯一適用されている(オプト・アウト)。
出産休暇 | 出産休暇は通常出産休暇(OML)26週及び追加出産休暇(AML)26週、合せて最長1年。OML中は、法定出産給付(SMP)を受給できる。最初の6週は週給の90%、残りの20週は週106ポンド(週給が106ポンド未満の場合は週給の90%)。また、SMPの受給資格がない離職者は、一定の要件を満たせば出産手当(MA)を受給できる。 |
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育児休暇 | 1年以上勤続する労働者は、1週単位で1年間に4週まで、子どもが5歳になるまでに合計13週の育児休暇(無給)を取得できる。*障害をもつ子どもの親は子供が18歳になるまで18週) |
父親休暇 | 2003年4月以降に生まれた子どもの父親は、連続する1週又は2週の有給休暇が取得できる。ただし、休暇の最終日が子どもの誕生から8週以内でなくてはならない。休暇中はSMPと同水準の法定父親給付(SPP)を受給できる。 |
参考文献
・厚生労働省 平成19年版労働経済の分析
・JILPT資料シリーズ №84
・JILPT労働政策研究報告書 №151
・ダイアモンド社 地球の歩き方ロンドン
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更新日:2015年9月16日