スリランカ(Sri Lanka)の”スリ”は”光り輝く”、”ランカ”は”島”を意味しています。スリランカは北海道をひと回り小さくした面積で、インド洋上に位置しています。日本からは直行便で約9時間のフライトです。
2010年には、ニューヨークタイムズ誌で「訪れるべき国第1位」にも選ばれています。当サイトコラム「世界のワークライフバランス」記事の執筆時に活用しているJILPT国際労働比較データブックにも掲載されていない、まさに神秘の国です。
写真左:ウェサックポヤデーの満月
事実上の首都とも言われているコロンボの成長ぶりは、目を見張るものがありました。上海の東方明珠塔を彷彿させる蓮の花を模ったシンボルタワーを絶賛建設中。海を埋め立てて、リゾート地の建設も進められています。建設中の看板にはチャイナの文字。スリランカの政府債務はアジアで最高水準であり、2017年末に、港湾使用権を中国に譲渡したことを知ったのは帰国後のことでした。
*現在の首都はスリー・ジャヤワルダナプラ
写真右:コロンボ市内
スリランカは仏教を大切にする国であり、人口の70%が仏教徒だと言われています。”ポーヤ”と呼ばれる満月の日は、”労働お断り”、1日体を休め、寺院へ参拝する聖なる日とされています。国民の祝日で国の機関も銀行もクローズドになります。スリランカへ入国した日は、ポーヤの中でも特別なポーヤ、”ウェサック祭り”でした。仏陀の生誕、仏陀の政道、仏陀の涅槃を同時に祝うのです。国中がお祭り騒ぎ、日本でいう七夕飾りのような”クードゥワ”と呼ばれる飾りが街中に飾られ、寺院は華やかな電飾で彩られます。町内会の盆踊り大会のようなイメージで、子供から大人まで、巡礼者のために無償で食べ物を配給してくれます。クッキー、ジンジャー紅茶、赤バナナなどバラエティです。そして僧侶がお経を唱えてくださり、”ピリット・ヌーラ”という白い糸を右手に巻いてくれました。幸せのお守りです。
写真左:地元の人達に愛される寺院の仏陀
ジャングルの中に突如現れる世界遺産「シギリア・ロック」。巨大なビックサンダーマウンテンのような高さ195mの岩山をひたすら登ります。今から1500年前、ここに王宮が築かれていたとは驚きです。岩肌には、スリランカの芸術として名高い壁画シギリアレディが描かれています。時を超えて今にも踊り出しそうな、今にも話しかけてきそうな魅惑の微笑みを浮かべた美女達は今も誰なのかわからないそうです。
国連が定めている3月20日の「世界幸福デー」。この日に合わせて発表される世界幸福度報告書(世界幸福度ランキング)があります。これは、(1)人口あたりのGDP、(2)人生を選択する自由、(3)社会的支援、(4)健康な平均寿命、(5)性の平等性、(6)社会の腐敗などをポイント化してランキングが行われます。2018年版によると、1位はフィンランド(7.632)、2位はノルウエー(7.594)、3位デンマーク(7.555)と、毎年のことながら上位は欧州が独占しています。日本は、156国中54位(5.915)、スリランカは、116位(4.471)。ランキングの後ろから数えた方が早いくらいです。内戦が終結したのは2009年とごく最近のことであり、カースト制の存在など、スリランカは欧州とも日本とも異なる背景があります。
コロンボから離れれば離れるほど、決して裕福ではない、お洒落とは縁遠い人々の暮らしがそこにありました。しかし、人々の顔には笑顔が絶えない。子供たちが元気に走りまわり、その傍で大人たちが何をするわけでもなく見守っている。「幸福」とはなんだろうか。こんな問いが頭の中を駆け巡りました。名誉や地位などの欲望とは無縁のように感じ、今この時を穏やかな気持ちで過ごせることを何より大切にしているように思えました。幸福の価値観は人それぞれ、ランキングには表れない『幸せ』がそこにあるように感じました。
写真右:スリランカの田舎町
スリランカが世界に誇る建築家ジェフリー・バワ(1919-2003)がオフィスとして使用していた場所を改装した”パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ”です。彼は建物だけでなく、内装や調度品にも細部にもこだわったとい言われ、洗練された店内では、本場セイロンティーが楽しめます。白い飾りがウェサックスポヤデーの飾り”クードゥワ”です。
幸せに生きるための智慧アーユルヴェーダ。WHO(世界保健機構)にも認められている世界3大医学として知られています。5000年もの歴史をもつ伝統医療であり、治療(Curative)にスポットがあたる西洋医学とは異なり、アーユルヴェーダは第一には予防(Preventive)。健康で幸せに生きていくためには、質の良い睡眠、質の良い食事、そして質の良い運動がとても大切。ドクターのもとでココロ・カラダ・魂のバランスを整えていきます。時に、ヤモリやイグアナと同室になることもあるのはスリランカならではです。食事はドーシャ(体質)に合わせたアーユルヴェーダ専用食、女性に優しいザクロも!
『人生100年時代』、健康であってこその100年だと思うのです。
・ポーヤの日(満月の日)の労働お断り!
・体を休める!
・自分を大切にする!
・自分のカラダの声に耳を傾ける!
幸せで健康な人生を送るために、とても大切なことを再認識させてもらった魅惑の国スリランカの旅でした。
LIFE STYLE CHANGES!!!
アーユーボワン!!!
写真左:インド洋に沈む夕陽
<参考文献>
・国連世界幸福度報告書2018年版
・地球の歩き方2018-19
更新日:2018年5月15日