去る11月20日、フォーリン・プレスセンター(霞が関)にて、ウィレム・アデマOECD 社会政策シニア・エコノミストのプレゼンテーションが行われました。12月17日発表予定のジェンダーイニシアチブの最終報告に先立ち、OECD加盟34か国のうち10か国のジェンダーに関する調査データの比較から、男女平等を目指す上での課題「3E(教育、雇用、企業経営)」に焦点が置かれ、日本の現状及び課題が議論行われました。
OECD Tokyo Policy Forum
“How to unleash women’s potential for the revitalization of Japan"
Presentation by Dr. Willem Adema, Senior Economist in OECD Social Policy Division
OECD本部にて開かれた男女格差是正を目指すジェンダー・イニシアチブ最終報告書
『男女間の格差縮小のために今行動が求められている~日本』(日本版/英語版)はこちらから読むことができます。
【要因1】
教育水準は高いにもかかわらず、女性の6割が出産・育児で労働市場から退場し、その後再就職したとしても非正規雇用・低賃金というキャリアトラックに乗れない女性が非常に多い
【要因2】
学部学科選択という入口の段階で、保健・教育等の専攻の60%が女性、コンピューターやエンジニアリングを専攻するいわゆる理系女子は10%にも満たない
【要因1】
仕事と家庭の二者択一に追い込まれる、あるいは仕事を優先することにより子供を持つ時期を遅らせていることが少子化に拍車をかけている
【要因2】
男性の家事参加が極端に低い。男性の家事参加率が高い国ほど女性の雇用率が高いという調査結果が示された。
ワークライフバランス先進国のスウエーデン、デンマーク、フランスなどはGDPの4%が家庭を持つ人たちへの援助として公的支出がされている。OECD平均ではGDPの2.7%、日本はGDPのわずか1.5%の公的支出にとどまっている。
公的支出の割合と女性の雇用率及び出生率の相関性が示された。
両親ともに労働市場に参加することで雇用が生まれ、経済活性化につながることを認識し、雇用戦略を検討・再検討する時期にある。男女平等を推進することは、女性への教育投資を無駄に終わらせないという利点のみならず、最終的にはOECD が推進する社会全体のより良い暮らしへとつながる。
アデマシニアエコノミストはプレゼンテーション終了後、韓国へ向かわれました。日本と同様に出生率の低迷を続ける韓国では、国の経済活性化のために女性の人材活用に国を挙げて取組始めています。アデマ氏のプレゼンテーションからも日本への期待が込められていることを感じると同時に、最終警告の意味をも持つ重要な要素が多く含まれているようにも感じました。さまざまな提言・助言に真摯に耳を傾け、日本全体で男女共同参画の取組を加速させていかなければ、いつしか日本は素通り、見向きもされなくなる日が来るのではないかと危惧しています。
日本の労働生産性は、OECD加盟34か国中第20位、主要先進7か国では最下位です。
日本の労働生産性水準を国際的にみると、イスライル(19位)やギリシャ(21位)、アイスランド(22位)といった国とほぼ同じ水準です。
労働時間ではトップクラスの日本ですが、働きに見合う十分な付加価値が生み出せていない状況です。
1位 | ルクセンブルク | 18位 | 英国 |
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2位 | ノルウェー | 19位 | イスライル |
3位 | 米国 | 20位 | 日本 |
4位 | アイルランド | 21位 | ギリシャ |
5位 | ベルギー | 22位 | アイスランド |
6位 | イタリア | 23位 | ニュージーランド |
7位 | フランス | 24位 | 韓国 |
8位 | オーストリア | 25位 | スロベニア |
9位 | オランダ | 26位 | チェコ |
10位 | オーストラリア | 27位 | スロバキア |
11位 | デンマーク | 28位 | ポルトガル |
12位 | スウェーデン | 29位 | ハンガリー |
13位 | スペイン | 30位 | トルコ |
14位 | フィンランド | 31位 | ポーランド |
15位 | スイス | 32位 | エストニア |
16位 | ドイツ | 33位 | メキシコ |
17位 | カナダ | 34位 | チリ |