心理的負荷による精神障害の認定基準

具体化された労災認定基準

うつ病等による精神障害の労災請求事案については、平成11年9月14日付基発第544号「心理的負荷による精神障害の業務上外に係る判断指針」により業務上外の判断が行われてきましたが、労災認定審査の迅速化に向け、平成23年12月26日付基発1226第1号により新認定基準が設けられました。今後は、新認定基準により業務上外が判断されます。

新認定基準の概要

新認定基準では、極度の長時間労働を「月160時間程度の時間外労働」と明示するなど、評価基準の具体例が増えてわかりやすくなりました。客観的事例の明示により、企業側は精神障害等による労災を未然に防ぐ対策が取りやすくなるメリットもあります。

業務による心理的負荷(ストレス)の評価基準の改善

旧判断指針 新認定基準
評価方法 2段階による評価
  出来事の評価 + 出来事後の評価
      →総合評価
1段階による評価
  出来事 + 出来事後の総合評価
特別な出来事 ・極度の長時間労働
・生死に関わる事故への
 遭遇等心理的負荷が極度のもの
・「極度の長時間労働」を
 月160時間程度の労働時間と明示
・「心理的負荷が極度のもの」に
 強姦やわいせつ行為等を例示
具体例
-----
労働時間
心理的負荷評価表には記載なし
-----------------------------------
具体的な時間外労働時間数については、恒常的長時間労働を除き定めていない
「強」「中」「弱」の
心理的負荷の具体例を記載
-----------------------------------
強い心理的負荷となる
時間外労働時間数等を記載
・発病直前の連続した2か月間に
 1月当たり約120時間以上
・発病直前の連続した3か月間に
 1月当たり約100時間以上
・「中」の出来事後に、
 月100時間程度 等
評価期間 例外なく発病前おおむね6か月以内の出来事のみ評価 セクシャルハラスメントやいじめが長時間継続する場合には6か月を超えて評価
複数の
出来事
一部を除き具体的な評価方法を定めていない 具体的な評価方法を記載
・強+中又は弱 →強
・中+弱    →強又は中(※)
・中+弱    →中(※)
・弱+弱    →弱(※)
発病者の
悪化
既に発病していた場合には悪化したときであっても労災対象としない 発病後であっても特に強い心理的負荷で悪化した場合は労災対象とする

(※)近接の程度、出来事の数、その内容で総合判断

審査方法等の改善

旧判断指針 新認定基準
医師の
意見
精神科医の専門部会に全数を協議 判断が難しい事案のみ協議
調査 業務以外の要因の詳細な調査を行う 業務以外の要因の調査を簡素化

労災対策は会社全体で

労災認定基準の明確化は、長期化傾向にあった労災認定審査の迅速化を目的としたものであって、メンタルヘルス不全者を未然に防ぐことが重要性であることは言うまでもありません。うつ病などの精神疾患が増加している背景として、経済のグローバル化や労働環境の悪化が指摘されています。今後従業員を取り巻く労働環境はますます厳しくなることが予測され、会社全体での労災対策が早急に求められています。

記事一覧

企業向け

【働き方改革】
【SDGs】
【妊娠・出産・育児】
【助成金】
【女性活躍推進】
【介護】
【治療との両立】
【ダブルケア】
【テレワーク】
【法律】
【事例集】

個人向け

【妊娠・出産・育児】
【治療との両立】
【介護】
椅子