待ったなし!女性活躍支援 ~部長の壁は厚い~

女性の活躍が遅れている日本 〜政治の世界〜

2011年版の男女共同参画白書によると、日本の衆院議員に占める女性の割合は11.3%と調査を実施した186カ国中121位にとどまりました。女性議員の比率が高い国は、憲法や法律で議席の一定数を女性とする「議員割当制」や議員の候補者名簿の一定割合を女性にする「候補者クオーター制」などを導入しています。スペインでは女性候補者数の擁立が義務付けられていますし、韓国では2004年に比例代表区におけるクオーターを導入しています。ドイツのメルケル首相もオーストラリアのギラード首相も女性と聞くと、イメージが湧くでしょうか。政治の世界でも日本は女性の活躍は遅れているのです。

日本の女性管理職の現状 〜部長の壁は厚い?!〜

では、女性管理職の割合はどうでしょうか?
1979年(昭和54年)の国連総会で女子差別撤廃条約が採択されて30年以上が経過しました。
国際的に性差別撤廃の機運が高まりの中、日本も対応を迫られていました。同条約を批准するために国内法を整備する目的で男女雇用機会均等法(以下、均等法)が出来ました。均等法が施行されて、今年で四半世紀が経過しました。しかし、欧米に比べ女性管理職比率は低く、国が掲げている「2020年(昭和32年)までに指導的立場に女性が占める割合を30%にする」という目標からは、ほど遠いのが実情です。アメリカでは、管理的職業に占める女性は40%、イギリス・ドイツ・オーストラリアなどは3割を超えています。ノルウェーは2008年に世界初、企業のボードメンバーの4割を女性にする割当制を導入しています。

日本の女性管理職の割合を見てみると、係長以上の役職者に占める女性の比率は上昇傾向にありますが、係長相当職以上の管理職全体に占める比率は8.0%、係長相当職では11.1%と、やっと10%を超えましたが、課長相当職では5.0%、部長相当職では3.1%と部長の壁は厚いのです。

日本の女性活躍支援の考え方

2010年12月17日に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画では、女性の就業継続支援と活躍の場の拡大を掲げています。具体的には、女性役職者の具体的な数値目標やスケジュールを明確に設定し、その達成状況について定期的にフォローアップを行うこととしています。

日本の企業が欧米並みの女性管理職比率に到達するには、出産や育児、介護などの女性のライフステージに応じた働き方を支援する環境整備だけでなく、女性管理職の意識の醸成をバックアップする機会を計画的に増やしていくことが重要となってきます。

企業にとっての女性活躍支援を進めるメリット

企業にとって、女性活躍推進を進めるメリットはどんなところにあるでしょうか?顧客企業が新製品開発や新規事業立ち上げで女性の視点を重視しつつある面や状況の変化に対応する柔軟性、女性ならではのしなやかさがが求められているのです。
女性活躍推進の活動を積極的に行っている企業の事例を紹介します。

≪事例1≫ A社(経営コンサルティング会社)

対象 管理職を含む女性社員
スタイル 年1回の集合研修
内容 管理職の男性1人と共に「働き方」などをテーマに意見交換
効果
  • 育児休業から復帰した人や管理職になった人の素顔を見られる
  • 相談相手、ロールモデルがみつかる
  • 所属部署や肩書、年齢がバラバラになるように組み合わせる。本音で意見交換ができる
  • 将来の幹部候補としての訓練、意識の醸成の取り組むきかっけとなる

≪事例2≫ T社(外資系薬品会社)

対象 30歳前後の管理職を目指す女性リーダー候補
スタイル ホテルでの朝食会
内容 海外子会社の女性社長を囲み、キャリア形成や子育て後の職場復帰など働く女性の不安や悩みを話し合う
効果
  • 女性幹部の今までの苦労や経験をこれからの女性役職者候補と共有することができる
  • ロールモデルの存在が、今後のキャリア形成に役立つ
  • プロとしての自身や自覚が伝わり、意識の醸成が期待できる
  • ダイバシティ―のさらなる推進につながる

≪事例3≫ F社(電気メーカー)

対象 育児休暇からの復職者と30代前半の幹部職を目指す社員
スタイル 対象者と直属の上司である課長が集合研修に一緒に参加
内容 ①実際の復職経験者や課長以上の女性管理職の体験談を聞き、直属ではない管理職との相談体制の充実を図る
②直属の上司と働きやすい環境や将来の希望について意見交換する
効果
  • これまで何が相談しにくかったのかなど対手の状況の理解が深まり、コミュニケーションが深まる
  • 上司の配慮が逆に女性社員のモチベーション低下を招くようなケースが減らせる
  • 上司が期待する役割と女性社員の希望が合致するようになる
  • 女性が長期にわたって働き続けられる職場づくりが進む

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