女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、行動計画の策定義務の対象拡大や情報公表の強化などの女性活躍推進法の一部改正のほか、事業主に対してパワーハラスメント防止のための措置義務を新設する労働施策総合推進法の一部改正などが盛り込まれた「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」(法律第24号)が、第198回通常国会の参議院本会議(2019年5月29日)で採決が行われ、賛成多数で可決・成立しました。
改正女性活躍推進法は2019年6月5日に公布されました。
指針の制定や省令の改正、施行日については今後政令で定められる予定です。
最新の情報にご留意ください。
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和元年政令第174号)が公布され施行期日が決まりました。ページ最下部をご覧ください。
主な改正点は、以下の4点です。
1.行動計画の策定義務の拡大
2.女性活躍に関する情報公開の強化
3.特例認定制度(「プラチナえるぼし」(仮称)の創設)
4.履行確保について
(1)行動計画策定について
行動計画の策定・届出義務が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。これは、企業における女性活躍に関するPDCAサイクルを広く促すため、一定規模の企業には行動計画の策定を義務付けることが適当であるとされたことによります。
なお、ここでいう常時雇用する労働者とは、雇用契約の形態を問わず(パートや契約社員であっても)、1年以上継続して雇用されているなど、事実上期間の定めなく雇用されている労働者も含まれます。
(2)情報公開義務について
自社の女性活躍に関する情報公開の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。改正前の女性活躍推進法により情報公開が義務付けられていた常時雇用する労働者が301人以上の事業主と同様に、改正により拡充される常時雇用する労働者が101人以上の事業主についても、情報を定期的に公表しなければならないこととされました。改正により新たに義務対象となる、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主については、厚生労働省令で定める項目から任意の1項目以上を情報公開することが求められます。
施行は、公布後3年以内の政令で定める日とされています。
<情報公開の強化について>
常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公開項目について、(1)職業生活に関する機会の提供に関する実績、(2)職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績の各区分から1項目以上公表する必要があります。改正前は、下記【表】の14項目(・部分)から任意の1項目を公表することとなっており、区分はありませんでした。区分を設定することとされたのは、女性活躍推進法の基本原則を踏まえ、情報公開区分を(1)職業生活に関する機会の提供と、(2)職業生活と家庭生活との両立に区分し、区分毎に、1項目以上を任意に選択して複数の項目を義務づけることが適当とされたことによります。
施行は、公布後1年以内の政令で定める日とされています。
【表】各区分の情報公開項目のイメージ
(1)職業生活に関する機会の提供 | (2)職業生活と家庭生活との両立 |
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・採用した労働者に占める女性労働者の割合 | ・ 男女別の再雇用又は中途採用の実績 |
・男女別の採用における競争倍率 | ・男女の平均勤続勤務年数の差異 |
・労働者に占める女性労働者の割合 | ・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合 |
・管理職に占める女性労働者の割合 | ・男女別の育児休業取得率 |
・係長級にある者に占める女性労働者の割合 | ・労働者の一月当たりの平均残業時間 |
・役員に占める女性の割合 | ・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間 |
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績 | ・有給休暇取得率 |
※詳細については、省令において示される予定です。
女性活躍に関する状況等が優良な事業主への認定(えるぼし認定)よりも水準の高い「プラチナえるぼし」(仮称)認定が創設されます。これは、インセンティブを強化し、企業における更なる女性活躍の取組を推進するため、えるぼし認定よりもさらに基準の高い認定制度を創設することが適切とされたことによります。認定の詳細は、厚生労働省令において示される予定ですが、女性活躍推進の取組について客観的に優れていることや、行動計画の数値目標を達成していること、男女雇用機会均等推進者や職業家庭両立推進者を選任していることなどを認定基準とした上で、プラチナくるみん制度と同様に、認定を取得した企業については、行動計画の策定義務が免除されます(ただし、取組状況の情報公開が求められます)。また、認定を受けた企業は、えるぼし認定と同様に、厚生労働省が定める認定マークを商品などに付することができます。
施行日は、公布後1年以内の政令で定められる日となります。
女性活躍推進法の確実な履行確保のため、求職者の職業選択に影響を与える情報公表義務違反や虚偽の情報公開に関して勧告に従わない企業については、企業名を公表することができるとされました。また、厚生労働大臣は、女性活躍推進法の施行に関し必要があると認めたときは、報告徴収、助言、指導、勧告を行うことができるとされていますが、えるぼし認定を受けた事業主については、行動計画の策定や情報公開が努力義務となっている常時雇用する労働者が100人以下のえるぼし、プラチナえるぼし(仮称)認定取得企業であっても、報告徴収が行えることとされました。これは、認定制度の信頼性を確保することが適当とされたことによります。
施行日は、公布後1年以内の政令で定められる日となります。
労務事情№1389 産労総合研究所
『女性活躍推進法の改正と実務対応』
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和元年政令第174号)が公布され、施行期日が決まりました。
項 目 | 施行期日 |
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行動計画策定・情報公表義務の対象拡大(301人以上⇒101人以上) | 令和4年4月1日 |
その他(情報公表の強化・勧告違反の公表、プラチナえるぼし、報告徴収等の対象拡大) | 令和2年6月1日 |
項 目 | 施行期日 |
---|---|
行動計画策定(状況把握・数値目標) | 令和2年4月1日(対象拡大に関するものは令和4年4月1日) |
更新日:2019.8.9
更新日:2019.12.11
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