育児休業給付の拡充

平成26年4月より育児休業給付の拡大

母子

厚生労働省は、労働政策審議会の答申(平成26年1月16日)を受けて、平成26年4月1日からの育児休業給付の充実を図るための雇用保険法改正案を第186回通常国会に提出していました(平成26年1月31日)。
平成26年3月28日、参院本会議で与党などの賛成多数で改正雇用保険法が可決、成立しました。

拡充の内容

幼子

雇用保険法改正により、育児休業給付は、当初の半年間に限り、給付率が休業開始前賃金の3分の2にあたる67%に引き上げられます。共働き夫婦が半年ずつ交代で育児休業を取得した場合、最大で計1年間67%の育児休業給付を受給できることになります。仮に妻だけが育児休業を取得した場合は、半年で給付率は67%から50%に下がることになりますが、夫婦交代で取得することにより、世帯での受取額は増えることになります。育児休業給付の充実によって、経済的な理由で育児休業に消極的な労働者に取得を促す狙いがあり、男女ともに育児休業を取得しやすくし、子育て支援や少子化対策につなげるねらいがあります。

なお、今回の給付率の引上げに伴う所要額は、休業取得後最初の半年間に限った措置ではありますが、それでも平年度で約800億円と試算されています。育児休業給付の財源は、国と労使の負担による雇用保険財源から行われますが、給付拡充のための雇用保険料率の引き上げは行われず、平成26年度の雇用保険料率に変更はありません。

施行日:平成26年4月1日

育児休業取得率向上のために

育児

育児休業給付は、育児休業を取得しやすくし、職業生活の円滑な継続支援・促進するために雇用保険の失業等給付の一つとして設けられており、これまでも給付率の引上げが行われてきました。育児休業給付が開始された平成7年には、休業開始前賃金の25%であった給付率ですが、徐々に引き上げられ、直近ではの給付率は50%とされていました。
 平成22年度からは、育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金が統合され、給付額の全額を育児休業中に支給する制度に改正されています。これらの効果もあり、育児休業給付受給者は増加し、女性の育児休業取得率は8割を超えていますが、男性の育児休業取得率は1.89%(平成24年度)と伸び悩んでいます。女性が主として、家事や育児を担う方が経済的に合理的になるという結果、所得補償が十分でないこともあり、育児休業取得率の男女差に大きく影響していると思われます。収入が減るという経済的な理由から育児休業を取得しなかった労働者が男女ともに一定数存在することも各種調査から明らかになっています。また、第一子出産で継続就業している正社員は上昇傾向にありますが、出生動向調査(平成22年)によると、パートタイマーや契約社員などの雇用形態で就労する女性の継続就業率は微増にとどまり、正社員の半分以下にとどまっているという結果も出ています。

 性別や雇用形態にかかわらず、育児休業の取得が当たり前になる社会を願っています。

更新日:2014年3月31日

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