平成28年3月29日、「雇用保険等の一部を改正する法律(育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、雇用保険法等の改正)」が参議院本会議で可決・成立し、3月31日に公布されました(平成28年法法律第17号)。
これにより、仕事と育児・介護の両立支援制度の見直しが行われることになりました。法律改正を機に、積極的に働きやすい職場づくりを構築しましょう。
非正規雇用労働者の育児休業の取得促進や妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い等の防止を図ることを目的とした改正です。4はいわゆるマタニティ・ハラスメント(マタハラ)対策です。
改正内容 | 現行 | 改正後 | |
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1 | 子の看護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化 | 1日単位での取得 | 半日(所定労働時間の2分の1)単位の取得を可能とする【※】 |
2 | 有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和 | (1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること、(2)1歳以降も雇用継続の見込みがあること、(3)2歳までの間に更新されないことが明らかである者を除く | (1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること、(2)子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかである者を除く |
3 | 育児休業等の対象となる子の範囲 | 法律上の親子関係である実子・養子 | 特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子といった法律上の親子関係に準じると言えるような関係にある子については育児休業制度等の対象に追加する |
4 | 妊娠・出産・育児休業・介護休業をしながら継続就業しようとする男女労働者の就業環境の整備 | 事業主による不利益取扱(就業環境を害することを含む)は禁止 | (Ⅰ)妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚などによる就業環境を害する行為を防止するため、雇用管理上必要な措置を事業主に義務付ける、(Ⅱ)派遣先で就業する派遣労働者については、派遣先も事業主とみなして、上記防止措置義務を適用する。また事業主による育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止規定を派遣先にも適用する |
【※】
(1)所定労働時間が4時間以下の労働者については適用除外とし、1日単位。
(2)業務の性質や業務の実施体制に照らして、半日を単位として取得することが困難と認められる労働者は、労使協定により除外できる。
(3)労使協定により、所定労働時間の2分の1以外の「半日」とすることができる。
例:午前3時間、午後5時間など
介護が必要な家族を抱える労働者が介護サービス等を十分に活用できるようにするため、介護休業や柔軟な働き方の制度を様々に組み合せて対応できるような制度の構築を目的とした改正です。3~5は、日常的な介護ニーズに対応することを目的としています。
改正内容 | 現行 | 改正後 | |
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1 | 介護休業(93日:介護の体制構築のための休業)の分割取得 | 原則1回に限り、93日まで取得可能 | 取得回数の実績を踏まえ、介護の始期、終期、その間の期間にそれぞれ対応するちう観点から、対象家族1人につき93日まで、3回を上限として、介護休業の分割取得を可能とする |
2 | 介護休業給付の給付率の引上げ | 賃金の40% | 67%に引上げを行う |
3 | 介護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化 | 1日単位での取得 | 半日(所定労働時間の2分の1)単位の取得を可能とする |
4 | 介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務) | 介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能 | 介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用を可能する。【※1】 |
5 | ≪新設≫介護のための所定外労働の免除 | なし | 介護終了までの期間について請求することのできる権利として新設【※2】 |
【※1】措置内容(現行と同じ)
(1)所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
(2)フレックスタイム制度
(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
(4)労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度
【※2】
(1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の労働者等は、労使協定により除外できる。
(2)1回の請求につき、1月以上1年以内の期間で請求でき、事業の正常な運営を妨げる場合には事業主は請求を拒否できる。
同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹及び孫も追加されました。
(現行:配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫)
出所:労働政策審議会資料より作成
平成29年1月1日
なお、介護休業給付率の引上げは、平成28年8月1日です。
更新日:2016年4月28日
更新日:2016年6月23日
更新日:2017年4月5日
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